Ver1.15 リリース

Options Version1.15をリリースしました。

Version1.0からの主な変更点は下記の通りです。

Version1.1
(1)リスクフリーレートの算定方法を,過去データに基づく方法から,評価基準日における2年債と10年債の利回りをベースに推定計算する方法に変更しました。
(2)これに伴い,リスクフリーレートの管理機能を削除しました。
(3)評価結果レポートを作成する機能を付加しました。
(4)2項モデルにおけるツリー画面で,分割期間を変更して再計算する際に,R,u,d,pの各値が,画面上で変更した期間ではなく,設定画面上における分割期間に基づいて計算される不具合を修正しました。
(5)いくつかのアイコンを変更しました。

Version1.15
(1)2項モデルにおけるツリー画面で,分割期間を変更して再計算する際に,ツリー画面上の分割期間ではなく,設定上の分割期間が適用されていた不具合を修正しました。
(2)2項モデルの計算スクリプトを大幅に見直しました。

ダウンロードは,「Downloads」ページからどうぞ。

ブラック・ショールズ式をつかったモデルによるオプションの評価

「ストックオプション等に関する会計基準」には,
ストック・オプションの公正な評価単価の算定方法として,
ブラック・ショールズ式を使ったモデルと,2項モデルが例示列挙されています。

「株式オプション価格算定モデル」とは,ストック・オプションの市場取引において,一定の能力を有する独立第三者間で自発的に形成されると考えられる合理的な価格を見積もるためのモデルであり,市場関係者の間で広く受け入れられているものをいい,例えば,ブラック・ショールズ式や二項モデル等が考えられる。
「ストック・オプション等に関する会計基準」第48項後段

このうち,ブラック・ショールズ式を使ったモデルについて「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」には下のように書かれています。

(2)「連続時間型モデル」とは,株式オプション価格算定モデル等の株式オプション価値の算定技法のうち,将来の株価の変動が,一定の確率的な分布に基づいて常時連続的に生じると仮定する方法をいう。連続時間型モデルの典型例として,ブラック・ショールズ式がある。
「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」第2項

ブラック・ショールズ式というのは,
その名の通り,フィッシャー・ブラックとマイロン・ショールズによって発表されたもので,ヨーロピアン・タイプのオプション価格の算定を可能にする方程式です。
高度な確率論を用いて原資産価格の変動を予測し,オプション価格の決定に無裁定価格理論を取り入れています。いずれにしても,その導出理論は非常に難解です。

「連続時間型モデル」と呼ばれるのは,2項モデルと比較した場合に,株価の変動が連続的に起こると考えることに由来すると思われます。

ちなみに,ヨーロピアン・タイプのオプションというのは,オプションの権利行使が満期日だけに限定されているものをいいます。
これに対して,アメリカン・タイプのオプションというのは,オプション取引の開始日から満期日までの任意の時点で権利行使ができるものをいいます。

ブラック・ショールズ式を使ったモデルは,ヨーロピアン・タイプのオプションの評価モデルといわれ,2項モデルはアメリカン・タイプ及びヨーロピアン・タイプのオプションの評価に利用できるといわれます。

関連エントリー:ブラック・ショールズ式と2項モデルのこと
参考になるサイト:金融大学 第9回

2項モデルによるオプションの評価

「ストックオプション等に関する会計基準」には,
ストック・オプションの公正な評価単価の算定方法として,
ブラック・ショールズ式を使ったモデルと,2項モデルが例示列挙されています。

「株式オプション価格算定モデル」とは,ストック・オプションの市場取引において,
一定の能力を有する独立第三者間で自発的に形成されると考えられる合理的な価格を見積もるためのモデルであり,市場関係者の間で広く受け入れられているものをいい,例えば,ブラック・ショールズ式や二項モデル等が考えられる。
「ストック・オプション等に関する会計基準」第48項後段

このうち,2項モデルについて「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」には下のように書かれています。

(1)「離散時間型モデル」とは,株式オプション価格算定モデル等の株式オプション価値の算定技法のうち,将来の株価の変動が,一定間隔の時点において一定の確率に基づいて生じると仮定する方法をいう。離散時間型モデルの典型例として,一期間後の株価が一定の確率に基づいて上昇するか下落するかの二つのケースのみを想定する二項モデルがある。
「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」第2項

2項モデルというのは,
原資産(ストック・オプションの場合は対象となる株式)の価格がある時点からみて上昇する/下落するという仮定をおき,将来の原資産価格(株価)を予想します。
その上で,その将来の原資産価格(株価)から逆算することで,ある時点のオプション価格を求めようという方法です。

「離散時間型モデル」と呼ばれるのは,ブラック・ショールズ式を使ったモデルと比較した場合に,株価の変動を連続的にではなく,ある時点・時点ごとに考えることに由来すると思われます。

「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」にあるように,株価が上昇する/下落することを予測する際に一定の確率を用います
また,株価の上昇率/下落率の計算に株価の変動性(ボラティリティ)や無リスク資産の利子率(リスクフリーレート)などを使います。

このあたりの理屈自体は,ブラック・ショールズ式を使ったモデルで使われるものとほとんど同じなので,2項モデルは
オプション用語集 – torowiki:

初等数学を使ってオプション価格決定理論を展開させたものとして、また、非常に難解なブラック・ショールズ・モデルを一般化するもの

と言われることもあります。

ヨーロピアン・モデルのオプションを前提としたとき,2項モデルにおける分割数をどんどん増やしていくと,オプション価格は,2項モデルとブラック・ショールズ式を使ったモデルとで一致すると言われます。
ここで分割数というのは,オプションの評価時点から権利行使時点までの期間をいくつかの期間に分割したときの,その数のことです。

関連エントリー:ブラック・ショールズ式と2項モデルのこと
参考になるサイト:金融大学 第10回

オプションを評価するということ

オプション評価モデルとしての2項モデルとか,ブラック・ショールズ式を使ったモデルという言い方をしますが,そもそも「オプションを評価する」というのは,どういうことかについて。

ここで「オプション」取引というのは,あるものを売る権利あるいは買う権利を取引することです。

売る権利|プット・オプション
買う権利|コール・オプション

日常わたしたちが行っている取引と同じで,買う人がいれば売る人がいます。
逆に言えば,売る人がいて,買う人がいなければ取引は成立しません。

そして,経済学(部分均衡分析)によれば,取引は需要と供給が一致したときに成立します。

オプション取引についても同じことが言えます。
オプション(ある権利)を買いたい人がいて,それを売りたい人がいる場合で,両者の均衡が実現するときに取引(オプションの売買)が成立します。

均衡が実現するというのは,価格と数量が一致する場合をいいますが,
「オプションを評価する」という場合はもっぱら価格をターゲットにしています。

つまり,「オプションを評価する」というのは,オプションを取引(売買)するときの,価格を評価・決定することになります。

もっとも,日常わたしたちが行っている取引とオプション取引には違いがあって,オプション取引では,オプションの買ったひとが,そのオプション(権利)を行使したりしなかったり(つまりオプションの対象となる資産を売買)して,オプション売買後に損得が生じます。

この「オプション(権利)を行使したりしなかったりする可能性がある」ということが価格決定の要素に含まれます。
そのほかにも,オプション(権利)を行使する(できる)までの時間の長さや,オプション(権利)を行使する対象資産(株式や債券)のもつ性質などを価格決定の要素に含めます。
こういう複雑に絡み合う諸要素を整理して,(経済)合理的なオプション価格を算定する方法として,ブラック・ショールズ式を使った方法や,2項モデルといわれる方法などがあるのです。

そして,3,000件を超えていました。

ストック・オプション評価ツール「Options」のダウンロード数が1,500件を超えたことお知らせしたのは,10月19日のことでした。

それから11月2日までに,3,000件を超える方にダウンロードしていただいていました。
ダウンロードいただいたみなさま,どうもありがとうございます。
重ねてお礼を申し上げます。

ストック・オプション評価という,一般的には馴染みのうすい用途のツールにもかかわらず,「ダウンロードしてみようか」と思っていただけたことを,とてもうれしく思います。

今日(11月11日)現在では,3,771件となっています。
このところ,さすがに一時の勢いはなくなってきていますが。

質問や改善提案,ご意見などお寄せいただけると,さらにうれしいです。
ありがとうございました。

(11月2日)
Downloads20071102

(11月11日)
Downloads20071111

ストック・オプション評価ツール「Options」のダウンロード数が1500件を超えていました

ストック・オプション評価ツール「Options」のダウンロードをお知らせしたのは,9月13日のことでした。

当初,1日数件〜十数件のダウンロード数でしたが,その後,ベクターのサイトアップルのサイトに掲載していただきました。

これが10月3日のこと。
それから2週間あまりで1,500件を超える方にダウンロードしていただきました。

ダウンロードいただいたみなさま,どうもありがとうございます。

ストック・オプション評価という,一般的には馴染みのうすい用途のツールにもかかわらず,「ダウンロードしてみようか」と思っていただけたことを,とてもうれしく思います。

質問や改善提案,ご意見などお寄せいただけると,さらにうれしいです。
ありがとうございました。

Natoioptions Stats Donwloads

ベクターに掲載されています

ナ・トワのストック・オプション評価ソフト「Options」を
ソフトウェアダウンロードサイト ベクターに掲載していただいています。

アップルの公式サイトに掲載していただきました

ナ・トワのストック・オプション評価ソフト「Options」を
アップルオフィシャルサイトのダウンロードページに掲載していただいています。

アップル好きなので,ちょっと,いやとても,うれしい気分です。

Apple Downloads

ダウンロードしていただけます

本日(9月13日)より,ストック・オプション評価ツール「Options」を
ダウンロードしていただけるようになりました。

Optionsは,ストック・オプションの会計処理に必要な
ストック・オプション評価額を算定するソフトウェアです。

現在のバージョンは1.0。
今後も適宜,機能改善をはかっていきますので,
改善提案など,お気軽にお寄せくださいませ。

[Downloads]からダウンロードできます。

Download Options1-1

オプション価格の試算|M社新株予約権のケース

Optionsを使い,実際の数値をベースにオプション価格を試算してみました。
試算対象は,9月7日にM社が発表した,第三者割当によって発行される新株予約権です。

算定の基礎になる数値は

  1. 算定時点(付与時点)の原資産(株式)価格
  2. オプションの行使価格
  3. オプションの満期までの期間
  4. ボラティリティ
  5. オプションの満期までの期間における予想配当率
  6. リスクフリーレート

です。

M社のケースでは,
1.算定時点(付与時点)の原資産(株式)価格
プレスリリースにある,株式併合後の理論価格を,
新株予約権の付与日における予想価格とすると,86,000になります。
もっとも,株式併合と新株予約権の第三者割当発行の発表以来,
2日連続のストップ安&市場での売買が成立しない状態が続いている様子ですので,
この予想価格は少し高めかもしれません。

2.オプションの行使価格
プレスリリースによると,15,000円/株です。

3.オプションの満期までの期間
プレスリリースによると,2007年11月1日から2010年10月31日までの3年間です。

4.ボラティリティ
2006年3月1日から2007年9月7日(1年6ヶ月間)の株価と日次リターンを基礎に
Optionsで算定したところ,78.902%でしたので,78.9%としました。

5.オプションの満期までの期間における予想配当率
この数年,無配当の状態が続いているようですので,0%としました。

6.リスクフリーレート
2007年1月から8月末までの国債(10年債)の平均利子率を
Optionsで測定したところ,1.723%でした。
オプションの満期までの期間が3年であることを考えると,
5年債の利子率が適当とも思われるので,1.5%としてみます。

これらの基礎数値をもとに,Optionsで計算してみました。

【ブラック・ショールズ式の場合】

Trial M Bs

オプション価格は73,478円/株と計算されました。

【二項モデル(アメリカンタイプ)の場合】(期間を20に分割したケース)

Trial M Amr

オプション価格は73,433円/株と計算されました。

今回取り上げた新株予約権には,ほかにもいろいろな条件
(たとえば,行使価額の調整,一部行使不可,会社による新株予約権取得)
が付されているので,より厳密にオプション価格を算定するには,
それらの条件を加味する必要があります。

(Optionsによる試算は,条件を簡略化した上での,オプション価格に対する参考です。これは,試算対象について何らかの見解を示すものではありません。)