ブラック・ショールズ式をつかったモデルによるオプションの評価

「ストックオプション等に関する会計基準」には,
ストック・オプションの公正な評価単価の算定方法として,
ブラック・ショールズ式を使ったモデルと,2項モデルが例示列挙されています。

「株式オプション価格算定モデル」とは,ストック・オプションの市場取引において,一定の能力を有する独立第三者間で自発的に形成されると考えられる合理的な価格を見積もるためのモデルであり,市場関係者の間で広く受け入れられているものをいい,例えば,ブラック・ショールズ式や二項モデル等が考えられる。
「ストック・オプション等に関する会計基準」第48項後段

このうち,ブラック・ショールズ式を使ったモデルについて「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」には下のように書かれています。

(2)「連続時間型モデル」とは,株式オプション価格算定モデル等の株式オプション価値の算定技法のうち,将来の株価の変動が,一定の確率的な分布に基づいて常時連続的に生じると仮定する方法をいう。連続時間型モデルの典型例として,ブラック・ショールズ式がある。
「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」第2項

ブラック・ショールズ式というのは,
その名の通り,フィッシャー・ブラックとマイロン・ショールズによって発表されたもので,ヨーロピアン・タイプのオプション価格の算定を可能にする方程式です。
高度な確率論を用いて原資産価格の変動を予測し,オプション価格の決定に無裁定価格理論を取り入れています。いずれにしても,その導出理論は非常に難解です。

「連続時間型モデル」と呼ばれるのは,2項モデルと比較した場合に,株価の変動が連続的に起こると考えることに由来すると思われます。

ちなみに,ヨーロピアン・タイプのオプションというのは,オプションの権利行使が満期日だけに限定されているものをいいます。
これに対して,アメリカン・タイプのオプションというのは,オプション取引の開始日から満期日までの任意の時点で権利行使ができるものをいいます。

ブラック・ショールズ式を使ったモデルは,ヨーロピアン・タイプのオプションの評価モデルといわれ,2項モデルはアメリカン・タイプ及びヨーロピアン・タイプのオプションの評価に利用できるといわれます。

関連エントリー:ブラック・ショールズ式と2項モデルのこと
参考になるサイト:金融大学 第9回

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2項モデルによるオプションの評価

「ストックオプション等に関する会計基準」には,
ストック・オプションの公正な評価単価の算定方法として,
ブラック・ショールズ式を使ったモデルと,2項モデルが例示列挙されています。

「株式オプション価格算定モデル」とは,ストック・オプションの市場取引において,
一定の能力を有する独立第三者間で自発的に形成されると考えられる合理的な価格を見積もるためのモデルであり,市場関係者の間で広く受け入れられているものをいい,例えば,ブラック・ショールズ式や二項モデル等が考えられる。
「ストック・オプション等に関する会計基準」第48項後段

このうち,2項モデルについて「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」には下のように書かれています。

(1)「離散時間型モデル」とは,株式オプション価格算定モデル等の株式オプション価値の算定技法のうち,将来の株価の変動が,一定間隔の時点において一定の確率に基づいて生じると仮定する方法をいう。離散時間型モデルの典型例として,一期間後の株価が一定の確率に基づいて上昇するか下落するかの二つのケースのみを想定する二項モデルがある。
「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」第2項

2項モデルというのは,
原資産(ストック・オプションの場合は対象となる株式)の価格がある時点からみて上昇する/下落するという仮定をおき,将来の原資産価格(株価)を予想します。
その上で,その将来の原資産価格(株価)から逆算することで,ある時点のオプション価格を求めようという方法です。

「離散時間型モデル」と呼ばれるのは,ブラック・ショールズ式を使ったモデルと比較した場合に,株価の変動を連続的にではなく,ある時点・時点ごとに考えることに由来すると思われます。

「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」にあるように,株価が上昇する/下落することを予測する際に一定の確率を用います
また,株価の上昇率/下落率の計算に株価の変動性(ボラティリティ)や無リスク資産の利子率(リスクフリーレート)などを使います。

このあたりの理屈自体は,ブラック・ショールズ式を使ったモデルで使われるものとほとんど同じなので,2項モデルは
オプション用語集 – torowiki:

初等数学を使ってオプション価格決定理論を展開させたものとして、また、非常に難解なブラック・ショールズ・モデルを一般化するもの

と言われることもあります。

ヨーロピアン・モデルのオプションを前提としたとき,2項モデルにおける分割数をどんどん増やしていくと,オプション価格は,2項モデルとブラック・ショールズ式を使ったモデルとで一致すると言われます。
ここで分割数というのは,オプションの評価時点から権利行使時点までの期間をいくつかの期間に分割したときの,その数のことです。

関連エントリー:ブラック・ショールズ式と2項モデルのこと
参考になるサイト:金融大学 第10回

オプションを評価するということ

オプション評価モデルとしての2項モデルとか,ブラック・ショールズ式を使ったモデルという言い方をしますが,そもそも「オプションを評価する」というのは,どういうことかについて。

ここで「オプション」取引というのは,あるものを売る権利あるいは買う権利を取引することです。

売る権利|プット・オプション
買う権利|コール・オプション

日常わたしたちが行っている取引と同じで,買う人がいれば売る人がいます。
逆に言えば,売る人がいて,買う人がいなければ取引は成立しません。

そして,経済学(部分均衡分析)によれば,取引は需要と供給が一致したときに成立します。

オプション取引についても同じことが言えます。
オプション(ある権利)を買いたい人がいて,それを売りたい人がいる場合で,両者の均衡が実現するときに取引(オプションの売買)が成立します。

均衡が実現するというのは,価格と数量が一致する場合をいいますが,
「オプションを評価する」という場合はもっぱら価格をターゲットにしています。

つまり,「オプションを評価する」というのは,オプションを取引(売買)するときの,価格を評価・決定することになります。

もっとも,日常わたしたちが行っている取引とオプション取引には違いがあって,オプション取引では,オプションの買ったひとが,そのオプション(権利)を行使したりしなかったり(つまりオプションの対象となる資産を売買)して,オプション売買後に損得が生じます。

この「オプション(権利)を行使したりしなかったりする可能性がある」ということが価格決定の要素に含まれます。
そのほかにも,オプション(権利)を行使する(できる)までの時間の長さや,オプション(権利)を行使する対象資産(株式や債券)のもつ性質などを価格決定の要素に含めます。
こういう複雑に絡み合う諸要素を整理して,(経済)合理的なオプション価格を算定する方法として,ブラック・ショールズ式を使った方法や,2項モデルといわれる方法などがあるのです。